技学イノベーション推進センター中間報告会が開催されました

2017.2.10

  技学イノベーション推進センター中間報告会として1月6日、長岡技術科学大学マルチメディアシステムセンターに関連プロジェクトを推進している高専・豊橋技科大・長岡技科大の教員66名が集まりました。
 報告会は、山口教授(長岡技科大、技学イノベーション推進センター長)による三機関連携事業のイノベーション産学官融合キャンパス構想検討部会における推進センターの役割と育成人材像についての説明から始まり、参加者一同で本事業の考えの理解を深めました。
 続いて技学実践教育・基幹ネットワーク運用部門長の湯川教授(長岡技科大)から人材育成に関する考えが紹介され、「イノベーション指向人材に求められる能力として、従来からの教育による“自然科学・数学に関する知識と運用能力”及び“専門分野に関する高度知識と運用能力”に加え“技術科学思考能力”、“協調的技術開発能力”、“社会との対話能力”、“技術創生能力”の高度化を図る必要がある」と話されていました。そして、具体的に取り組んでいる教育モデルや教科書の出版状況などが報告されました。
 融合キャンパス推進部門長の永澤教授(長岡技科大)からは、「刃物コラボ」として6つのワーキンググループ(WG)を形成し、各WGの学生が企業現場に行ったり企業研究者が大学内活動に参加したりする融合キャンパス活動実施例の報告がありました。
 技学イノベーション・産業創出部門からは、中山准教授、河合教授、小笠原教授(いずれも長岡技科大)、浜教授(函館高専)、寺嶋教授、伊崎教授、後藤准教授(いずれも豊橋技科大)から、同部門内の各領域別に報告がありました。
 クリーンエネルギー領域では、基礎教育・応用教育のいずれにおいても、様々なテーマに関してPBLに取り組み、22高専27教員でのメーリングリストを形成し情報交換をしつつ、研究会やコンテストを通じた学生の発表の場を設けて教育を推進しているとのことでした。
 レジリエントインフラ領域では、高専・技科大間の教員相互訪問により議論を重ね、特に高専専攻科生の教育について議論を深めていることや、研究会・シンポジウムの開催や、専攻科生が長岡技科大の研究室へインターンシップに行くことで専攻科生の能力向上を図っているとの取り組み事例が紹介されました。
 アグロインダストリー領域では、これまでの連携活動を更に発展すべく新たな挑戦として「発酵をサイエンス」するプロジェクトを進めることが報告されました。また連携活動事例として、高専本科生が長岡技科大へ1.5~3ヶ月間の長期にわたりインターンシップで研究に携わった事や、長岡技科大生が高専へのインターンシップを行った連携や、ICT農業研究会として5高専を主体に全国規模の実証試験を行っている連携研究活動の報告がありました。
 アシスティブテクノロジー領域では、「ATマインドをもった“ATスーパー技術者”の育成」を目指し、研究を通じた教育はもとより、その教育の質を担保するためにスキル標準の設計素案を作り上げ、次年度からカリキュラムとして授業実装を予定している事が報告されました。この授業実装により学生のスキルをルーブリック評価により定量的に示すことが可能になるとのことでした。
 グローバルイノベーション教育領域では、太陽電池をテーマとした連携・協同プログラムを実施することで、具体的な研究テーマをキーとして連携強化を進めている事が報告されました。また、この事業で開設した両技科大で受講可能なグローバルイノベーション特論の講義の紹介があり、今後教材の充実を進めていくとの報告がありました。
 パネルディスカッションでは「これから三機関連携をより持続的に進化させるためにはどうあるべきか」として意見が交わされました。意見交換は、イノベーション産学官融合キャンパス構想検討部会のトップである田村高専機構研究・産学連携室長、寺嶋豊橋技科大副学長、三上長岡技科大理事・副学長から、それぞれ意見を頂いた後、会場から長岡技科大学の東学長、鎌土理事・副学長と5名の高専教授らからも連携継続の今後にヒントとなる意見が相次ぎました。
 午後からは各領域に分かれて分科会が開催されました。学生による発表を中心とした研究会が開催されたり、中心となって研究を推進している教員が集まり今後の方向性が議論されたりと多岐にわたる内容で進められました。

(岸本真一)