プレミアムな地域ブランドを生み出す仕組みと人材

燕三条トライクにて

 

燕三条トライク代表 小山 雅由さん

 

集うクリエイター達(燕三条トライクFBより)

 

Ka-mono代表 牛腸 彰さん

 

思いを“形”に(Ka-mono FBより)

 

2015.1.13

 

 

「地方創成」や「地域イノベーション創出」という言葉がニュースで頻繁に聞かれるようになりました。大都市では、コワーキングスペースが拡充してきていて、様々な分野のスペシャリストがコラボすることでイノベーションの芽が生えつつあるようですが、地方はどうでしょうか?
新潟県の県央地域に位置する、ものづくりのまち三条市で“クリエイターのワクワク感をつなげる場“を提供している「燕三条トライク」さんと、複合産業が集積している加茂市で”思いを形にできるファブラボ“を提供している「Ka-mono」さんを訪ねました。 燕三条トライクさんは、昭和初期に建てられた洋風な趣ある建物を活用していて、足を踏み入れるだけで想像力が掻き立てられます。代表の小山雅由さんに話を聞きました。

「燕三条トライクの名前は三輪バイクの別称トライクに由来していて、”ユーザー”、”メーカー”、”クリエイター”の三者が一緒になって一つの事を進めることで、時代のニーズをつかんだ商品が生み出されるきっかけの場を提供したいとの思いを込めました。現在は地元職人の後継者、工業デザイナー、きものデザイナー、IT技術者、通訳の方など20代、30代の方々を中心に利用していただいています。」
一方、Ka-monoさんは、エンジニアの隠れ家のように狭い空間に工作機械がぎっしりと詰まっています。代表の牛腸彰さんは、長岡高専専攻科、長岡技科大を修了後、民間企業の勤務経験を持つ起業家。根っからのエンジニアで、自らが備え付けの3Dプリンターや切削RPマシン等を操りアイデアを“形”にしていきます。
お二人の話を聞いて、地元企業、クリエイター、職人とあらゆる分野の人材が集まって話をすることで、従来の”居酒屋談議”よりもさらに広い視点の会話でアイデアが生まれ、加えて、出てきたアイデアを素早く“形”にすることで更に会話が弾み、次の新たな“形”が出来上がり・・・そういったサイクルをうまく回していくことができるようになっている事が分かりました。
”居酒屋談議”で起こりがちな事は「それ、いいねぇ」で終わってしまうこと。しかしここであれば、よいサイクルを繋げて“形”をカスタムアップしていくことで、世界に誇れる地元企業独自のプレミアムなブランドが確立されていくのではないかと感じました。 このようなサイクルを教育分野に当てはめて考えると、まさしくイノベーションを導くといわれている「デザイン思考」そのもの。最近は日本でも大学教育に取り入れる動きが活発になっていますが、教育現場に取り入れるためには、まだまだ時間がかかります。でも、このような場に集まる皆さんの輪に学生達が加わらせてもらえれば、今からでも、次の世代のプレミアム地域ブランドを生み出せる人材へと育っていけるのではないでしょうか?
”ユーザー”、”メーカー”、”クリエイター”に加えて、大学の学生・教職員や技術力を活用してもらう事で、更なるブランド価値向上のサポートができれば素敵だと思います。

 

文責:岸本真一