技術科学イノベーション専攻 准教授

大沼 清


 

 

iPS細胞とは何か?

NTIC:産学官連携の一つのものとして、私達が企業回りをするときに、大学にはこんな先生がいて、こんな研究をしているのですよとご紹介するときに、使用させていただけたらとの思いのインタビューです。よろしくお願いいたします。

大沼:はい。わかりました。理解してもらえるように、お話いたします。

NTIC:まったくのど素人なので、「iPS細胞(図1)とは何か」から入っていただけたら

大沼:わかりました。そうですね。iPS細胞は、2006年に京都大学の山中先生がマウスで世界で最初に作られて、2007年にヒトで作られたということで、非常に有名になりました。どんな細胞かといいますと、体中の細胞になることが出来、どんどん増えることが出来るという2つの特徴があります。なので、それを使うと、細胞を一杯増やして、例えば心筋の細胞にしてやると、心臓に何かあったときにそれを補うことができたり、すい臓のインスリンを出す細胞を作ってやれば、糖尿病になっても、その細胞がそれを担ってくれたりするので、いいだろうと。そういう再生医療ということで、注目されています。

NTIC:臓器は、いろいろな臓器があるわけですけれど、iPS細胞というのは、いかなる臓器にも分化するものなのですか?

大沼:そういう能力は持っているのですけれども、現代の技術だと、まだ開発されていません。ただ、いろいろなものに分化することは判ってきています。特にマウスでは研究が進んでいます。ただ、ヒトの場合ですと、脳の細胞にしましょうとか、心臓の細胞にしましょうとか、それだけを100%綺麗に作れる技術はまだあまり進んでいないのです。個別に出来ている例は、世界中で、報告されているのですけれど。

 

再生医療とiPS細胞

NTIC:それは、将来はそういう方向へというのが目的なのですか?

大沼:そうですね。私も含めて、皆さん、それで頑張っていらっしゃいます。
実は、iPS細胞と同じ働きを持つものにES細胞というのがあります。これは、ヒトの受精卵からしか作れないのです。受精卵ですから、将来ヒトになる細胞を使わなければならないということで、倫理的に問題があるのです。歴史的には先にES細胞が作られれ、それを同じ性質を持つiPS細胞が後から作られました。iPS細胞は、皮膚であるとか、とにかく大人の細胞から作れます。私の細胞とか、皆さんの細胞からも作ることが出来るのです。
例えば移植をしたいときに、ES細胞(図2)ですと、私と同じ遺伝子を持つ受精卵というのは世の中にありません。私の親族の細胞でも遺伝子情報は違ってしまうのです。違ってしまうと、拒絶反応を起こしてしまう。iPS細胞からだと、自分の細胞=同じ遺伝子ですので、拒絶反応は起きません。ということで、iPS細胞は再生医療では良いとされています。
あとは、遺伝病があったとします。遺伝病はそのまま細胞に反映されますから、その病気を持っている細胞を作ることができます。その病気を持っている細胞を使えば、色々なことを調べることができるのですね。例えば、今までは神経細胞が変化する病気になってしまった患者さんの脳の細胞を調べるということは、できませんでした。頭をあけて、細胞をとりだすわけにはいかないので。けれど、iPS細胞だったら、どこでもいいから、患者さんの細胞をいただき、それを増やして神経の細胞にすれば、その病気の情報を常に調べることができます。効果がある薬品とか、色々調べることができます。

NTIC:それは、遺伝子を引き継いでいるから?

大沼:はい、そうです。ただ、この方法は遺伝的な病気だけしか使えません。後からなった病気ではダメです。例えば、酒を飲みすぎて肝臓をやられてしまった場合、その細胞をとってきて調べても、それは不摂生が原因ですので、遺伝子に反映されませんから。でも、遺伝的に肝臓が悪いというのならば、調べることはできます。

NTIC:今は肝臓の話が出ましたけれども、肝臓に病があってそれを調べるのに、肝臓以外の細胞をもってきた場合には、どうなるのですか?その場合も、遺伝子を引き継いでいるのですか?

大沼:遺伝的な病気でしたら、体中の細胞が同じ遺伝子を持っているので、どこでも大丈夫です。遺伝子病=両親から引き継いでいる病気を調べる場合、肝臓の病気の情報を調べるのに、別に肝臓の細胞でなくても大丈夫です。他のところの細胞をもってきて、iPS細胞を作って、それを増やして、それを肝臓の細胞に分化させ、それを調べればいいのです。

NTIC:歯を作るのと、肝臓を作るのでは、やり方が違うのですか?先生は、そういう研究もされているのですか?

大沼:私は、そのような個別の細胞を分化させるということはあまりしていません。世界中で色々な方が、歯を作るにはどうしたらいいか、すい臓を作るにはどうしたらいいか、神経を作るにはどうしたらいいか、ということを色々研究されています。理研では網膜の細胞を作っており、今度臨床実権をされるらしいです。そんな形で、部分的には色々と出ています。

NTIC: そうなのですか。すごいですね。

大沼:ただ、我々がその再生医療を受けられるかどうかというと、それは非常に微妙なタイミングだと思います(笑)。

NTIC:もっとずっとかかるのですか?

大沼:はい、明日にも実現するということはないと思います。

NTIC:そういう研究をなさっていて、最終的な研究の目的といったら何なのでしょうか?

大沼:やっぱり、基本的には医療的なものに繋がっていくというのが、出口としては一番わかりやすいですかね。

NTIC:そうですか。医療的な技術となるのですね?

大沼:はい、医療以外の技術となると、なかなかないなと思うのですね。

 

細胞研究と産学連携

NTIC:そのような形で、一つは臓器=自分のスペアを作るといったようなイメージでの再生医療に向けたもの、それと、先ほどお話していただいたように、今、先天的な問題・遺伝子的な問題をかかえていて、人体実験をするわけにはいかいでしょうから、サンプルを頂戴して、それを培養して、創薬ですとか、そういった分野に使う方面、先生は取り組んでいられるのは、どちらかがメインのものでしょうか?

大沼:出口としては、両方当てはまるのですけれど、ゆくゆくは医療に利用できるとか、創薬につなげる方に、持っていければ良いと思います(図3)。

 

細胞の生態

(細胞の培養皿(図4)を見せてもらいながら)

NTIC:この培養液を止めたら、すぐに細胞は死んでしまうのですか?

大沼:いいえ、すぐには死なないです。数日程度は生きています。

NTIC:その培養液の中に入っている何かを食べるのですか?

大沼:そうです。食べ尽くしてしまったら死んでしまうのです。

NTIC:細胞も食べるのですね?

大沼:はい。(笑)

NTIC:食べるという表現でいいのですか?

大沼:そうですね。食べるというか、飲むというか(笑)

NTIC:また変な質問いたしますが、口があるのですか?

大沼:口があるわけではないのですが、細胞膜に蛋白質(図5)のトンネルのようなものがあり、そこを通して取り込みます。あとは、膜が内側に入り込むことによって、外のものを一緒に飲み込む。

NTIC:中に入れてしまうのですか?

大沼:そうですね。

NTIC:その場合、排泄というのもあるのですか?

大沼:排泄もありますね。食べるのとは反対に、中に入っていたものがトンネルのようなものを通して出るとか、小さな袋に入れて外に運び出すなどがあります。

NTIC:あの細胞を見ている限りは、じっとしていましたけれど、動いているのですか?

大沼:動いています。

NTIC:どういう動きなのですか?

大沼:時間をかけて観てやると動いているのが見えます。10分に1度とか、30分に1度とか細胞の写真を撮っていって、それを早送りで再生すると、ずっと動いているのがわかる。

NTIC:手足があるわけではないのに、どうやって動けるのですか?泳いでいるのですか?

大沼:泳ぐというよりは、這うというのが一番いいでしょうかね。ベタっとくっ付いて這う。ミミズだとか、カタツムリとか、ああいう感じで思っていただければ。

NTIC私の細胞と、違う人の細胞を見た場合に違いは見えるのですか?

大沼:顕微鏡で見た場合には、わからないと思います。

NTIC:では、例えば、私とカブトムシでは、わかるのですか?

大沼:それも、どこの細胞をもってくるかによりますね。場所によって、細胞の状態ってかなり違うのです。培養の仕方によっても、形は変わってしまいますし。

NTIC:それでは、全く同じ一人の人間の体であっても、違う所では、見比べると、「あっ、違う!」ということなんですか?

大沼:はい。神経系の細胞なんか、本当に長い突起を伸ばしていますし、心臓の細胞なんかは、まとまってくると、ドクッドクッと拍動したりします。

 

生物の遺伝子組み換え

NTIC:植物ですと遺伝子組み換えというのはよく聞きますけれど、これは細胞を覗きながら、どうやっていじるのかわかりません。1つずつの細胞、そのものを変えているのですか?

大沼:動物の場合ですと、DNAだけを取り出して、特定の酵素を加えると、DNAの特定の場所が切れるのですね。切れたところに別のDNAの断片を持ってきて貼り付けてといったかんじです。化学反応ですね。私のところでは、今ほとんどそういうことはやっていませんが、生物系の多くの研究室で日常的にやっていることです。化学反応で、遺伝子を切ったり繋げたり等をしていて、それを大腸菌に入れて増やしています。動物細胞でやる場合は、大腸菌で増やしたDNAを動物細胞に入れてやる、そういうかんじのことをやっています。

NTIC:恐ろしいほどの技術ですね?

大沼:そうですね。ただ基本的には化学反応です。

NTIC:はい。

大沼:ただし遺伝子操作した動物の個体を作るとなると大変に手間がかかります。

 

細胞状態の保持

NTIC:神経的にこういうお仕事は、疲れませんか?

大沼:まぁ、それは確かに疲れますけれど、どの仕事も同じなのではないかと思うのですが(笑)。

NTIC:あまりにも見えない世界だから・・・

大沼:ああ、見えない・・それはありますね。機械や電気の研究者と比べて大変だろうと思う点として、常に細胞を生かしていないといけない、いい状態にずっと保ってなければいけないというのはありますね。iPSは、ほぼ毎日培養液を交換して、状態を観て対応をする必要がある。そういうところは大変だと思います。生き物ですので、あまり研究室を空けられないですし。

NTIC:先ほど見させていただいた、拡大した大きい顕微鏡のところで、周りに、ネズミの細胞=餌といいますか、その細胞も、こちらで培養されていらっしゃるんですか?

大沼:はい、そうです。この細胞が餌ではなく、餌を出してくれる細胞なのですが、そっちも別に飼っています。それの上に、iPS細胞を撒いて、ということをしています。だから、両方用意しています。餌を供給してくれる細胞は、大体週に1~3回のペースで増え過ぎてしまったものを、小分けしています。

NTIC:その細胞ごとに、食べる餌みたいなものも変わってくるのですか?

大沼:そうですね。異なりますね。色々な培養液があります。

NTIC:そうなりますと、細胞の数と同じ分だけ、餌の細胞も用意していかないといけない?

大沼:はい、そうです。餌を出してくれる細胞が必要な細胞もありますが、培養液だけで大丈夫な細胞もあります。

NTIC:そんな形で、常時培養し続けているのは、何種類くらいあるのですか?

大沼:今はヒトのiPS細胞が2つ、マウスのES細胞等、扱っているのは6種類くらいですね。

NTIC:提供してくれる企業はあるのですか?

大沼:様々な細胞を保存していて提供してくれる細胞バンクというのがありまして、そこから提供してもらい使っています。細胞のとり違いとか、契約の問題とか、過去にありましたので、出所はちゃんとしましょうということで、今は、ほとんどの研究者が細胞バンクから提供してもらっています。

NTIC:きちんと、エネルギーとなるものを与えないと、何時間かで死滅してしまうということでしたけれど、いただいてくるときは、どうされているのですか?

大沼:液体窒素やドライアイスで凍らせています。

NTIC:冷凍して持ってくるときには、死んではいないわけですよね?眠っているのですか?

大沼:そうですね。要は冷凍されているのですけれど、SFで言うところの「コールドスリープ」ですね。あれは、個体レベルでのお話でまだ実現していませんが、細胞では昔からやられていることなんです。細胞の場合は、液体窒素の中で冷凍保存し、使うときになったら、溶かして、また増え始めるというかんじですね。液体窒素を絶やさなければ、少なくとも10年以上は冷凍してあっても大丈夫だと思います。

NTIC:ああ、精子とか卵子の冷凍保存とか長くできるというのは、そういうことなのですね。

大沼:はい、そうですね。ヒトのiPS細胞の場合もそうです。受精卵を凍結する方法と同じ方法で凍結しています。細胞の入ったチューブを液体窒素の中にジュッと入れて瞬間的に凍結します。

NTIC:なかには、変形したりとかないのですか?

大沼:それは、やっぱりあると思います。瞬間冷凍する方法は、細胞にはあまりよくないと言われています。最近は、色々と技術改良があって、別の方法でもあるみたいです。普通の一般的な細胞の場合には、細胞の塊をほぐして、冷凍庫でゆっくりと、1分間に1度ずつ下げていくと、ちょうど凍るときの結晶のでき方が、良いらしく、うまく凍結できるという話です。私の研究室では、両方行っています。

 

産学連携

 

NTIC:先生の研究の中で産学連携はされていらっしゃいますか?

大沼:そうですね、元々もっと生物よりだったんですけれど、本学にきてからは産学連携よりを意識をしてやっているつもりなのです。

NTIC:先生のテリトリーで共同研究というのもあると思うのですけれど、NTICで何かお手伝いところがあるかどうかは微妙なんですけれど、こんな装置があったらいいなとか困ってらっしゃるものがあれば。

大沼:そうですね。あの、先ほど細胞がどう動くかという話がありましたけれど、細胞と同じくらいのギザギザを作って、その中で細胞がどう動いているかとのを調べていまして、そういうのをやるときに、微細な加工をする技術というのが色々と必要なのです。

NTIC:μm単位ですものね。

大沼:そうですね。1μmの丸が何となく丸に見えるぐらいの精度でできてくれると、非常にありがたいのです。まぁ、10µmの丸が丸らしく見えるくらいの精度でも、それはそれで、利用することができます。

NTIC:10µmくらいだったら、できるかもです。レーザー加工でいけるような気がしますが、ただ問題は単純な穴だけではなくて、栄養を提供したりするラインとかも必要になるわけですよね?枝状についていくような

大沼:以前作ってもらったときは、ICの足を作る会社にお願いしました(図6)。通常は、金属の上に薄いフィルムを張り、そのフィルムにICの足の模様を転写し、模様以外の部分の金属を溶かして作るそうです。
そこで、目的とする模様を設計してお渡しし、それをフィルムに転写してもらい、金属を溶かす前の状態で納品していただき、鋳型として使用しました。ステンレスの上に厚さ20マイクロメートルぐらいのフィルムで模様ができている状態です。

NTIC:やっぱり、動きが見えるようにするために、少なくとも表面上は透明でなければだめなわけですよね?

大沼:はい、基本的にそういう事をやるときは、透明なシリコンゴムで型取りをして、ガラスの上に貼り付けて使っています。鋳型の作製は前任のときからお付き合いのあるところにお願いしていました。細かいのを1つ作るのは、電子線描画みたいなのでできるみたいなのですが、それを1cm角くらいに一杯欲しいとかになると、それは大変だそうです。

NTIC:NTICは、産のニーズをお聞きしてくるというのを今まではやっていましたが、学内の先生方のニーズをお聞きするというのも大切なことだと考えています。大学が企業のニーズ・問題を解決するというのは勿論ありますけれど、逆に、誰かが持っている技術で、誰かが困っているところを助ける。どっちがどっちを助けてもいいのですものね。いずれにしても、何がしかの繋がりが持てましたら、新しいものが生まれる機会に繋がるのかもですね。何はともあれ、ネットワーク作りが一番大切で、最初の始まり、とっかかりなのかなと感じています。

大沼:そうですね。「こういうのが欲しいのだけれど」というのが、100個、200個集まって、その中の1個2個がうまくいくというのがあればいいですよね

NTIC:色々なところに出かけておりまして、例えば大学見本市ですとか、様々なフェアですとか、そんな会場に足を運ばせていただいておりますので、そういったところで「コレってもしかしたら、先生のアレに使えないかな?」であるとか、そういう情報がありましたら、先生にお運びいたしますね。

大沼:よろしくお願いします。私もこっちに来て2年間ですので、そんなに研究が進んでいるわけではありません。これから、そういう意味で、「これっ!」とバンとお見せできるものを残せるよう頑張ります。

 

研究ツールと産学連携

NTIC:実験器具等でお困りのこと、たまにはあるのですか?

大沼:そうですね。

NTIC:その時の問題解決は、学内だけで処理できるものですか?

大沼:今、メインに使っているのは細胞培養の道具です。その細胞を観るための顕微鏡、あとは、微細加工、できればマイクロメートルくらいのオーダーのもの、主なものとしては、その3つを使いたいなと思っています。そのあたりが得意な企業さんとか、相談に乗ってくれたら、非常にありがたいなと思っています。

NTIC:その微細な加工ということで、長岡市内の企業さんとつながったことはございますか?

大沼:いいえ、まず、どういう企業さんがあるのかもわからない状態なので。

NTIC:それでは、是非、こちらでご紹介しないといけないですね?

大沼:はい、お願いします。東京には長くいたので、色々な会社の色々な情報が入ってたのですけれど、長岡に来て日が浅いため、おつきあいがありません。できれば地元の企業さんで、そういうことをされていらっしゃる企業さんがあればお願いしたいと思います。

NTIC:東京の方では、そういうことで、お付き合いされていた企業さんというのは、ジャンル的には、どういった技術を持っている企業でしたのでしょうか?

大沼:基本的には、光学顕微鏡まわりのお話だったりしたのですけれど、微細加工などは、大学の研究者との横の繋がりでの話でした。ICの足の方なんかは、愛知の会社でした。もし、地元でそういう企業さんがあれば嬉しいです。やっぱり、メールのやりとりをするよりも会ってお話が出来る方が良いです。身近な企業さんをご紹介していただけたら、とても助かります。

NTIC:わかりました。承っておきます。実際に加工したり、こんなものが欲しいのだけれどといったときの、ワークの素材のターゲットとしては、ガラスとか、シリコンゴムとかですか?

大沼:はい、どちらでも。金属でも別にいいです。

NTIC:長岡市内で、微細加工が得意なところは結構ありますので。NTIC:長岡市内で、微細加工が得意なところは結構ありますので。

大沼:はい、見ているとありますよね。金属加工は確かに色々な会社がありますよね。そういう細かいもできますよというところも、確かあったと思います。

NTIC:企業の方でも、そんなに細かいところまでやるのを求めているところはあるのかと、わからないで、すれ違っている部分はあるのですよね。

大沼:たしかに、そうではないかと思います。

NTIC:そういうところで、NTICが機能できたらいいなと思っています。

大沼:はい、それはそうだと思います。

NTIC:こんなものが欲しいのだけれどもと、一度お声をかけて下さい。動きますから。是非、そんな形でNTICをお使いいただけますとありがたいです。

大沼:こんなものを作ってくれる企業さんはないですか?と尋ねればという形なんですね?

NTIC:はい、逆リエゾン的なお手伝いもさせていただいておりますので。是非。

大沼:今、一つ。簡単な鋳型ができればいいかなというのがあります。これは手づくりして使っている細胞培養皿ですが、穴を開けたシリコーンゴムの板を、培養皿に貼り付けてあります。培養皿の中に4つの小さな培養皿があると思って下さい。これは、シリコーンゴムの板を皮ポンチで穴を開けて作っている(図9)のですが、手間がかかりますし、作る毎に形が変わります。そこで、円柱が4つ立っているような鋳型(図10)を作り、そこにシリコーンゴムを流し込み、熱して固めれば楽にできるなと思っています。また、この培養皿用のはめ込み式の蓋も作りたいです。同じシリコンで、密閉したいのです。細胞をまいた後に密閉したいので、培養皿に穴がこうあいているとすると、そこにぽこんと蓋が出来る形。

NTIC:そんな形でしたら、旋盤フライス盤で型を作って、シリコンを流せばいいのですから、大きさも作りやすいですし。

大沼:こういうことを、簡単に試せればいいなとは思っていたのですが、なかなか、どこへお願いしようか、わからなくて。
  もし、それが簡単にできるのであったら、お願いしたいなと。

NTIC:こういう形のものと、穴が96(12×8)のサイズですか?

大沼:将来的には、その穴が96ある定型のサイズにしたいです。大きさが合わないと困ることがあるのですね。もともとこれが、世界共通の定型なのです。これにあわせて、色々な器具が出来ているのです。いっぱんに8個、ピッピッピッと入れる器具とか、細胞をパッパッパッと自動的に蒔いていく装置とか、そういう色々な機械ができているので、これの定型にあっていれば、色々とやりやすいのです。

NTIC:これは、今は使い捨てみたいな形になるのですか?

大沼:はい、そうです。作った培養皿は基本的には使い捨てです。洗うと、洗剤をどう落としましょうとか、色々な問題があります。

NTIC:これをどのくらい欲しいのでしょうか?

大沼:鋳型は1回で1個でいいのです。1個あれば、それを使いまわして使えますので。型ですから。

NTIC:そうですね。型ですものね。もし具体的に進めたいのであれば、ポンチ絵でいいので、寸法が入ったものを送って下さい。動きますから。今日は、お忙しいところありがとうございました。