電気電子情報工学専攻 准教授

木村 宗弘


液晶とは

NTIC:今日は、インタビューの時間をいただきまして、ありがとうございます、宜しくお願いいたします。

木村:はい、こちらこそ、よろしくお願いします。

NTIC:技術シーズ集の先生のページを見せていただきましたら、「液晶」という言葉がありました。これは、どういったものですか?

木村:液晶は、一般的には、固体結晶と液体の中間の状態の物質の名前です。状態の名前でもありますし、デジカメのファインダーや、ビデオカメラのビューファインダー、テレビとかパソコンの画面といった、もう既に電子デバイスになったものも「液晶」と呼ばれています。液晶と言った場合に、物質の状態を指すか、出来たデバイスの製品を指すか、色々な使い方をしています。
色々な有機電子デバイスがある中で、これだけ広く実用化されたというのは、液晶だけなのですね。最近、有機ELなんていうのも出てきつつありますけれども、マーケットの大きさが全然違います。そういった面から、液晶は多分一番成功した電子デバイスだと思います。

液晶デバイスの作成

NTIC:どのように、そんな液晶デバイスを作成しているのですか?

木村:今までの半導体デバイスの作り方は、半導体を基板等の上にコーティングしています。その上にレジストというものを付けて、写真製版の原理で何回も何回も現像を繰り返して、微細に作っていくという方法で行ってきました。この方法では、半導体を蒸着するときに真空プロセスが必要になり、真空蒸着機だとか、スパッタリングと呼ばれる装置が絶対に必要になってきます。レジストという工程を繰り返す間に、熱を加える工程がどうしても入ってきます。ですから真空過程と熱過程がどうしても必要とされますし、何回も繰り返していくので、工程もものすごく多くなります。NTIC:厚くするために何回もするということですか?


木村:いえ、何回も繰り返すことによって、積層していくのです。液晶ディスプレイは、実は2枚のガラス板を貼り合わせて、その間に液晶を入れています。それぞれのガラスに幾つかの製造工程を加えていくので、それが2枚あるから2倍になります。もしも、これがプリンターで印刷するようにしてデバイスが作れれば、これは、ものすごく簡単に出来そうな感じがしますよね?

NTIC:はい。

 

プリンタブルエレクトロニクス

NTIC:先生の技術シーズ集のキーワードに「プリンタブル関係」とも書かれてありますが、プリンター関係も研究されているのですか?

木村:プリンターというよりは、印刷機の方がイメージが湧きやすいですね。最近、「プリンタブルエレクトロニクス」・「プリンテッドエレクトロニクス」だとかが業界のキーワードになっています。例えば、図1もそうですが、半導体の微細加工化というのは今まで、「フォトリソグラフィー」という方法が主に行われています。簡単に言いますと、写真技術です。それを全部印刷で置き換えてしまえば、利益がものものすごく上るということで今、色々な業界の人たちが競って参入している新しい分野なのです。
プリンタブルエレクトロニクスを主導しているような方々は、所謂、有機電子デバイス(フラーレン、カーボンナノチューブ等)を専門にしている方です。炭素を中心にした機能性を持つ色々な分子を開発し、今度はそれを基にして、電子デバイスを作っていこうという方々が主流、中心になっています。

NTIC:どのような形の製品になるのですか?

木村:今までの方法ですと、微細なものをもレジストで書いて、剥がして、書いて、剥がしてということを何回も繰り返してきました。100インチの液晶のパネルを、真空チャンバーの中でスパッタリングをしてフォトレジをやってというのは、膨大なコストがかかるのですね。だから、シャープの堺の工場って、総工費5000億円もかかっています。大きいマスプロを目指せば目指すほど、装置の費用もかかってきます。例えば、1つの製品を作るのに1工程の装置が、10億円くらいします。それが100台必要だったならば、1000億円、それが5ライン必要ならば、確かに5000億円になるのですよ。それを、1回の書き込みとは言わないけれども、何回かプリンターで書いていくことで、全部印刷で組み上げることができたら、真空プロセスも熱プロセスも必要ないので、ものすごくコストダウンするはずです。これが、プリンタブルエレクトロニクスと呼ばれるものです。

NTIC:IC等のような、微細なものまで、それでやろうとしているのですか?

木村:究極の姿はそうなります。

NTIC:感光でやった場合に、1㎜の間に数百本の線を引くことが出来ると聞いているのですけれど、その方法で、そこまで目指しているのですか?

木村:現技術ではそこまで出来ないですが、最終的には、究極の姿はそうなります。
 LSIのチップとかの配線の細さは30ナノメートル(髪の毛の太さの1/300000の細さ)にはなっているわけですけれど、それを、このプリンテッドエレクトロニクスでやろうという訳では今はありません。大きいもののマスプロ化には弱いので、そういうものに、まずはプリンテッドエレクトロニクスを使おうと。今、インクジェットのプリンターで、1000dpiくらいは、簡単にできますよね。それよりも、もっと微細となると、インクジェットでは得意としていません。逆に、フォトレジ工程は、大きいのはちょっと苦手なのですが、大きいものを高速でやるのは得意ですから、そういった分野での置き換えは可能だと思います。

 

研究の軸足

NTIC:先生と同じような研究をされている方というのは、日本にもたくさん、いらっしゃるんですか?

木村:私が手がけているようなタイプはまだ、どなたもいらっしゃいません。 先ほどお話した有機電子デバイスを専門にされている方と、液晶に軸足を置いて、テリトリーを広げている方と両方いる状態となっています。私はといいますと、ちょうど両方の中間にいるのですね。 液晶のいいところというのは、分子が並ぶということです。私が、今まで挑戦してきたことは、分子の並びをコントロールし、分子の並びを評価するという技術です。それををずっとやってきました。 日本国中、世界中に、分子を並べる、それから、分子の並びを評価するという先生はたくさんいらっしゃいます。しかしそれを印刷で実現しようという発想の人は、幸い、まだ私しかいないのです。

NTIC:画期的なのですね?

木村:とりあえずはそうです。ただ、印刷技術を使って、有機エレクトロニクスを構築しましょうという先生は、たくさんいます。ただ、こうした先生方は、所謂インクジェットプリンターだとか、グラビアコーターだとかの印刷機を使って、とりあえず、薄く作りましょうという技術が中心なのですね。私の場合は、分子を並べましょうというところに軸足をおいてますので、そこが他の先生方とは全く違うところです。

 

分子の並べ方

NTIC:その並べ方というのは、どうやって並べるのですか?

木村:そこが、キーポイントです。説明するのに幾つか図を使わないとだめなのですが、簡単に言いますと、分子というのは色々な形を持っています。例えばボールみたいな丸い分子もあれば、ペンのように長い分子もあります。もし、ペンのように長い分子であったならば、並べたくなりますよね?

NTIC:そうですね。並べやすいですものね。(笑)

木村:はい。(笑)一般の印刷機の場合は、分子が並んでいない、ぐちゃぐちゃの状態で、とにかく印刷してしまうということなのです。分子が本来持っている性質というのが生きないのですね。私達の技術では、分子をきちんと並べながら基板の上に整列させていきましょうということを行っています。ここが全然違うところです。

NTIC:分子が並ぶことによって、どんな利点があるのですか?

木村:分子を並べるということは実は非常に重要なのです。研究者の皆さんは、液晶の場合はこの分子を並べるということに対しては色々な形でこだわってきました。これは一般的な液晶の原理図なのですが、たいてい液晶は、このテレビもそうですけれど、2枚のガラスの基板の間に液晶というものが入れられていて、光のシャッターの役割をはたしています。たいていの場合は、上側にバックライト光源というものがあって、この光源から光が入ります。この光を偏光板というのを使って、光の振動方向を整えておきます。1方向へ振動した光に対して液晶を、この2枚のガラスの間できっちりねじれて並べてあげると、このねじりによって、光もねじれるという性質が出て来ます。2枚の偏光板を直角に並べてあるところがポイントなのです。直角に並べておいて、もしも分子にそって、光が直角にねじれてくれれば上側の偏光板を抜けた光は下側の偏光板を抜けてくれるのです。電圧をかけてあげると、液晶は並び直されてしまいます。この時ねじれていた構造が壊されて、全部の分子が立つのです。こうなると光は今度はねじれませんから、下側の偏光板と光の振動方向が直角ですのでブロックされて抜けてこない。これが液晶の基本的な使い方です。どちらかというとクラシックな部類に入ってしまうものです。
今、テレビだとかスマホだとかに使われている液晶は更に進化したモードが使われているのですが、基本は同じです。偏光板がまずあって、その間に入っている液晶分子の並び方をAの状態からBの状態に変えてあげると、光が通っていたものが通らなくなるというのが基本です。その根本というのは、分子が一つの並び状態から違う並び状態に変わっていくことです。この並び方ということが大事で、特にこの初期配向(分子が一番最初にどう並んでいるのか)が一番大事なのです。
液晶を並べる為にどういう技術が使われていたかというと、ラビング(図3)という並べ方が主流なのです。どうするかというと、ガラス基板の上に配向膜(高分子)をあらかじめ塗って焼いておきます。その上を回転する布で擦るのですね。大型のものはこのドラムの長さが3メートルあります。ローラーが回転していて、基板をその下をくぐらせながら擦るわけです。擦った方向に液晶分子が並んでしまうという性質が出てきます。これがラビングです。そういう工程を経て、まず2枚のガラスの板を用意します。基板を貼りあわせて中に液晶を注入して完成という、こんな流れで液晶のパネルというのを作っていきます。

つまり、液晶というのは分子が並んでいるということがキーとなっています。しかし、液晶以外のデバイスは今までは分子を並べるという発想は残念ながらなかったのです。基板があって、上に真空蒸着でもいいし、インクジェットでもいいし、とにかく分子を吹き付けてやればいいと、そのような工程で作ってきたのが今までの液晶以外の電子デバイスです。けれども、それだと本来の分子のパフォーマンスが出ないので、最近は分子をちゃんと並べましょうという形に発想が変わってきました。

 

日本の液晶業界について

NTIC:今、日本では液晶業界とか良くないとか聞いていましたが、コストが高かったからなのですね?

木村:そう言われていますけれども、多分色々な要因があって、一言では語れないと思うのです。コストということだけで言えば、確かに日本はコストが高いのですけれども、ただ、そんなことは昔から分かっていることで、日本製のディスプレイが世界を一時席巻したのは何故かと言うと、やはり高い技術力だったんです。ただその技術力が韓国・台湾に追いつかれてしまったので、今は日本のアドバンテージが出せないから、日本の液晶業界は調子が悪いと言われているのだと思います。

NTIC:でも、先生のその研究が実用化につながっていくようになってきたら、コストも安くなりますし、技術的にも上に行けますね?すごいですね。

木村:そうですね。そうなればいいですけれど。(笑)

 

半導体と太陽電池パネル

木村:半導体といいますと、ほとんどの方がシリコンだとか、ガリウムヒ素だとかといったものをイメージされると思います。一般的には無機の半導体と言われているものなので、所謂金属です。最近では、無機のもの以外に有機物の半導体というものがあります。例えば有名なところでは、グラファイトというものの親戚でグラフェン(フラーレンの仲間)というものがあります。フラーレンだとかグラフェンだとかカーボンナノチューブ等、こういったものは有機物でありながら半導体なのですよ。有機物ですから私達の肌とかの仲間なのですね。仲間でありながら、半導体の性質も持っています。金属の場合は割れたら困りますよね?ですから色々な苦労をして、薄く精密加工をしていきます。私達の皮膚(有機物)というのは、ちょっとつねっても何ともないですよね。壊れないです。そういうものが作れるのです。ですから、屋根の上に載っている太陽電池パネル、あれにはたいていガラスのカバーがかかっていて、落下物があっても割れないような工夫がされていますけれど、それがあるが為にコストも高くなりますよね?ですが、もしも有機の太陽電池が実現できたならば、例えば、通常は防災倉庫の中にぐるぐる巻きにしておき、災害があった時にだけ、広げることができます。そういう太陽電池にすることも出来ますから、便利ですよね。

NTIC:私は今月のはじめに、福島の方で震災復興エネルギーフェアというイベントに行きました。そこで本学のエネルギー事業等について説明してきました。その時に、有機デバイスを使ってプリントで作った、くるくると丸められる太陽パネルを展示即売している業者の方がいました。発電効率はそんなに高くないのですけれど、そんな形で折り畳んだり丸めたり、移動・持ち運びがすぐに出来たりと、そういったところがメリットになっているので、結構来場者が大勢集まっていました。

木村:既に一部分は実用化されています。問題点は、まだ発電効率が十分ではないことです。有機のフレキシブル な太陽電池と呼ばれているものは2種類のタイプがあります。1つは色素増感型と呼ばれるものです。もう1つは薄膜型と呼ばれるものです。いずれにしても分子は並べていないのですね。
それぞれいい特性を持っていますが、もしも分子がきっちりと揃っていれば、もっともっとパフォーマンスが出せるはずなのです。まだまだパフォーマンスが出ていない理由というのは、ただ基材のフィルムの上に塗っているだけなのですね。これが、塗るだけではなくて、分子を並べた上で塗ることができたら、もっといいものが出来るというのが、私達が考えていることです。

NTIC:太陽光パネルとかをプリントするときに、液晶の配向性を整えるラビングという前処理がありますが、あれを行ってから塗布すれば、折りたためるような有機デバイスの太陽光パネルの発電効率が上がる可能性があるということですか?

木村:実はですね、ラビングの研究も私が学生の頃から20数年続けてきているのです。今、取り組んでいる配向印刷というものは、このラビングをやめようという技術なのです。ラビングをご存じであれば、この話はしやすいのですけれど、液晶以外のデバイスですと、有機TFTだとか、テレビのCMで出てきたシャープの「IGZO」なんていうのも出てきました。あれ等も新型の半導体です。ああいった半導体、有機EL、太陽電池等も今までは、とにかく分子を基板の上に吹き付けて一定の厚ささえあればそれで良いという作り方だったのですが、今後は、分子をしっかり並べるという発想に代わってきていて、今その転換点になっています。
例えば、有機TFTですけれども、どうして分子をちゃんと並べた方がいいかという話なのですが、今の有機TFTと言っているものは、分子がこんなにきっちり並んでいません。

有機の分子というのは分子が縦に並んでいて、この真ん中にベンゼン環と言われるものが真中に付いているのですけれど、もしも分子がきっちり並んでいれば、ベンゼン環からベンゼン環への電子のホッピングはしやすいので、電子が横方向にぽん、ぽん、ぽんと、飛び石のようにホッピングできるのです。もしも、分子が縦方向に並んでしまっている場合には、電子は縦方向には移動しづらいので、図4のように、電子の移動度が2桁違います。2003年の論文にあるのですが、分子をきっちり並べてあげれば、良いものができるということは、皆さんも薄々気づいているのです。これを実験室レベルで、分子を蒸着法だとかできっちり並べてあげればいいだけで、ラビング法等でトランジスタを作ればいいのだろうということなのです。液晶を専門に扱ってきていた方が得ていた知識を有機トランジスタとか有機太陽電池の方に持ち出している時代なのです。
液晶=ディスプレイではなくて、液晶半導体というものもあるのです。液晶を使ってトランジスタや太陽電池を作っていくというのが、今の私のスタンスになっています。

 

スリットコーター

NTIC:スタンスというのは、具体的には?

木村:どうやって真空プロセスとかをなくすかということで、私達がとっている方法は、印刷機を使う方法です。図5のスリットコーターと呼ばれる方式です。スリットコーターとい方法の別名はダイコーターとか、ノズルコーターだとか、会社によって呼び名が違います。もう100年以上も前からある方法なのです。簡単に説明しますと、まずノズルがあります。このノズルに液剤が入っていて、このノズルの形状は横長のノズルなのです。こんな感じ(図5)になっているのですけれども、分子がこの穴から中に注入されて、ノズルの先端から出てきます。この出てきたものが、同じ厚さで基板全面に塗られるというだけの話なのです。
この方式はどこにも新しさはないと、皆さんが思うところなんですけれど、これは特許を出しました。何故特許になっているかというと、実はこのノズルと基板の間には、流体力学の専門用語で、せん断応力というのが働くのです。

せん断応力というのは、分子が乱雑にがちゃがちゃと置かれていたとします。もしもこんな風に一方向に力を加えれば、縦方向に揃います。同じように、分子に対して引っ張り力があった場合には、分子はやっぱり縦に並んだ方が有利です。液晶というのはちょっといい具合に粘り気があるのです。なので、粘り気を利用してあげて、このノズルから基板に対して飴をひくみたいにして適当なテンションで引っ張ってあげると、分子はこのコーターから塗っている方向に綺麗に並びます。ここが私達の特許です。しかも塗るだけではなく、中に、ジアクリケート系のモノマーを入れておくのです。このモノマーは、どういう役割を果たすかというと、UV=紫外光を当てると、重合するのです。なので、液晶分子を塗っているときに、1方向に並べ、この並んだ状態をこのまま重合によって凍結してしまうのです。どういうメリットがあるかというと、配向膜がもはやいらないのです。配向膜がいらなくなり、ラビングとかの処理もいらなくなり、ただ、液晶を塗る装置があればいい。
これらの説明の中で、液晶ディスプレイを作るには、何段もの工程がありますよとお話をしたのですけれど、こんなに工程が必要なんです(図6)。私達の方法では、この基板を洗った後、配向膜を塗るところからこの液晶を注入するところまで、1回の印刷で済んでしまうのです。装置の数が格段にいらなくなります。装置をこれだけ減らせるので、コストも下がります。それから、配向膜という部材や、ラビング布という部材もいらなくなります。圧倒的なコストダウンができます。

NTIC:液晶を塗布して、適当にせん断力を加えて1方向に並べて、UV照射で重合させて固定化させてということでしたけれど、固定化する部分というのは、UV光が当たっている1部分だけということになるということですか?

木村:その通りです。

NTIC:ほぉ。となると光が当たらなった部分は、これまで通りの液晶デバイスの部分として機能するということですか?

木村:その通りです。

NTIC:それがミソなのですか?

木村:はい、そうです。これがミソです。

NTIC:コーター部分のサイズというところで、技術的な課題とかはあるのでしょうか?

 

木村:現在うちの研究室でこのようなプロトタイプ機(図7)で、こんなに小さなもの(図8)で始めていました。これでうまくいくよということで特許をとり、JSTからA-stepというファンディングを受けまして、この2年間で2千万円のプロジェクトになっています。それで資金が入ったので、東レエンジニアリングさんと共同研究になっています。今年の9月に新型機を入れてもらいました(図9)。今、私達の研究室で幅10cmのものが今は出来ています。東レエンジニアリングさんは、コーターを得意とされているメーカーですので、従来の液晶のパネルに塗る、配向膜とかはずっと昔から作っていまして幅は2mでも3mでもできるそうです。

NTIC:さっきの断面図、これがコーターのノズルだとしますと、絵では一箇所から注入していましたけれど、幅が広いと何か所かあるのですか?

木村;勿論、何か所かから入れますし、ノズルの穴からどういう流路で入っていくのかを、流体力学的に計算しますので、ちゃんとバランスよく全体にいくようにしています。

NTIC:単純なスリットではなく、液が流れる面もデザインされている構成になってということですか?

木村:そこは、東レエンジニアリングの特許ですので。

NTIC:なるほど。ノズルごとに流路をコントロールするのではなくて?

木村:はい、計算で決まります。しかもノズルの形状だとか、リップの幅だとか、全部ノウハウですから。特許を出したことによって、デメリットはないかと不安はありますが、ただ逆に特許というのは、そこはぼかしておきますから。細かい数値までは、実際にやったものでないとわからないと思います。

NTIC:液晶デバイスにある程度限定されている技術なのですか?配向=分子を揃えるという面で、何かうまい国内のタイアップ先はできないかなと。

木村:さしあたっては、今、液晶でやっていますけれど、次のターゲットというのは、太陽電池になるし、有機ELにもなると思います。特に、今、曲げられるディスプレイといっているタイプも、一個一個の画素を駆動している半導体というのは、本来は無機なのです。ALL有機でやろうというムーブメントがあって、何社かで、プロトタイプで成功しているところもあるのですよ。それこそ、電線から何から全部有機でやるというのは、なかなかハードルが高いのですが、挑戦している人はいます。
私達は、高温プロセス、真空プロセスが全くいらないので、電子ペーパーという言葉があるのですけれど、電子ペーパー向けのディスプレイを研究しているところです。

NTIC:色々と楽しみな研究ですね。これからのご活躍を陰ながらサポートさせていただきますので、今後ともよろしくお願いいたします。今日は貴重な時間をありがとうございました。