開放特許抄録集機械関係
整理番号:0237
超音波を用いた温度測定方法
各種工業分野において、熱の発生する材料や部材の温度分布測定 (例:セラミックスや金属の焼結工程、ダイキャスティング、プラスチック製品やゴム製品の射出成形工程等)
発明者
- 井原 郁夫
- 高橋 学
- 山田 浩之
発明の目的
工学・工業の諸分野において、材料(媒体)の表面及び内部における二次元又は三次元の温度分布を超音波を用いて非接触かつ精度よく測定できるようにすることを目的とします。
概要
温度分布をもつ媒体の表面に接触式または非接触式の超音波検出手段を単数または複数設置し、当該媒体の所望の領域において超音波の励起点のみを移動させて、それぞれの前記励起点と前記検出点との間の超音波の伝播時間を算出し、媒体の前記二次元又は三次元温度分布を算出します。
なお、前記温度分布の算出は、所定の関係式と前記超音波の伝播時間を用いて前記励起点の各点と検出点との間の一次元温度分布を順次場所を変えて得ることで、その領域内の温度分布を内挿することにより求めます。
特徴・効果
本発明の温度測定方法では以下の効果があります。
1)
計測対象となる媒体の超音波の検出点を固定した状態で超音波の励起点のみを移動させ二次元又は三次元の領域内の温度分布を同定するものであるため、容易、高精度かつ簡便に媒体の温度分布が把握できます。
2)
超音波の励起・検出は非接触的に行われるため、超音波探触子の使用が困難な高温の媒体や液体(例えば溶融金属)であっても測定可能です。
3)
また、超音波の励起にレーザー光を用いれば、赤外線カメラ等が使用できない対象に対しても非接触温度測定が可能です。
発明の詳細・図面等
【特許請求の範囲】
超音波の速度と温度との関係式が予め求められた媒体に超音波を励起し、該媒体を伝播した前記超音波を非接触的に検出して、前記媒体の二次元又は三次元温度分布を算出する超音波を用いた温度測定方法であって、前記超音波の検出点を固定した状態で前記超音波の励起点のみを移動させて、前記励起点と前記検出点との間の前記超音波の伝播時間を算出し、前記媒体の前記二次元又は三次元温度分布を算出するために、前記励起点の各点と前記検出点との間の一次元温度分布を数値解析によって夫々算出し、前記数値解析では、前記関係式と前記伝播時間とが利用されることを特徴とする超音波を用いた温度測定方法。
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【詳細】
図1に示すように、超音波発生手段4から発した短パルス高エネルギーのレーザー光を集光手段5、偏光手段6、励起点走査手段7を通過後、媒体2の表面2a上の点(例えば、E1)に照射すると、この点E1付近にレーザーエネルギーの吸収による熱応力あるいは気化(アブレーション)圧縮力が発生し、その作用による歪みが超音波(表面波やバルク波)となって媒体2の表面2a又は内部2cを伝播します。
次いで、前記励起点走査手段7によって超音波励起点を例えば点E1からE2~E7へ移動させると、各励起点で励起された超音波が点Dに伝播し、そこで夫々の超音波の波形が超音波検出手段8によって検出されます。そして、これらの波形をもとに複数の点E1~E7から点Dまでの距離や伝播時間、振幅等を取得した結果をアナログ/デジタル変換器を介して制御・演算手段10に送り温度分布の演算を行って媒体表面又は内部の温度分布を把握します。
図2は本発明の実施例の一つで、材料表面温度の非接触モニタリングの概略図です。
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図1 温度測定装置の概略図
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図2 材料表面温度の非接触測定の概略図
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ライセンス情報
- 特許登録番号
- 第5446008号
- 登録日
- H26年1月10日(2014年)
- 権利満了日
- R11年1月22日(2030年)
- 実施許諾
- 可
- 権利譲渡
- 応談可
事業化情報
- 実施実績
- 複数企業と共同研究中
- 許諾実績
- 無し
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