開放特許抄録集材料関係
整理番号:0239
リチウムイオン二次電池用正極材料およびその製造方法
リチウムイオン電池、正極材料、ガラス-セラミックスの固液反応
発明者
- 本間 剛
- 小松 高行
- 富樫 拓也
発明の目的
二次電池正極材料について、従来とは異なる合成プロセスを用いることで、低温かつ短時間で合成すると共に、熱安定性に優れ長寿命となる材料の合成法を提供することが目的です。
概要
メタリン酸リチウム(リンとリチウムとの複合酸化物)と遷移金属化合物を原料として、所定のモル比で調合した後、還元雰囲気下又は還元剤を添加した状態で600~700℃にて焼成します。
これにより、オリビン型LiMPO4結晶(M=Fe, Mn, Co, Ni)の結晶化ガラス粉末を得ることができます。
この合成プロセスでは電子伝導性を向上させる導電助剤を効率よく複合化できるため、熱安定性に優れながら導電性の高いリチウムイオン二次電池正極材料を得ることができます。
特徴・効果
ガラス結晶化によるプロセスを使う事で、二次電池正極材料の合成法として一般的な固相反応よりも組成分布制御が容易となります。
さらに副生成物を生じず、水熱法や噴霧熱分解法により合成したものと同等の特性を持ちながら、短時間で合成ができます。
また、二次電池正極材料の粒子表面に効率よく導電助剤を付与することができ、導電性を高めることができます。
この合成プロセスを用いれば、活物質・電解質・導電助剤を一体で成形・焼結でき、全て固体からなる二次電池を作り上げることが可能となります。
発明の詳細・図面等
【特許請求の範囲】
(1)
粉体状のメタリン酸リチウムLiPO3と、化学式MO、MO2、M3O4、又はM2O3(MはFe,Mn,Co,Niから選ばれる少なくとも1種)で表される遷移金属酸化物とを、リチウム、リン及び遷移金属のモル比が1:1:(0.8~1.2)になるようバッチを調合する工程と、
(2)
調合されたバッチの周囲環境を還元雰囲気下に設定する工程と、
(3)
得られた混合粉体を600~700℃の温度範囲で焼成し、LiMPO4結晶(MはFe,Mn,Co,Niから選ばれる少なくとも1種)またはそれらの固溶体から構成される結晶を形成する工程と、
を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池正極材料の製造方法。
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【詳細】
メタリン酸リチウムLiPO3と、平均粒径1μmのヘマタイトFe2O3を、リチウム:リン:ヘマタイトのモル比が1:1:1となるように(メタリン酸リチウム=5.1831g、ヘマタイト=4.8169g)秤量・混合し、アルコールを加えてアルミナ乳鉢にて5分間混合します。
乾燥後アルミナボートに移し、7%水素‐93%アルゴンで満たした管状炉に導入し、所定の温度条件で3時間熱処理をすることで、LiFePO4結晶を得ることができます。
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図1 LiFePO4ガラス
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図2 熱処理後粉末のXRDパターン
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図3 熱処理後粉末のXRDパターン(還元剤としてグルコース10wt%添加)
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ライセンス情報
- 特許登録番号
- 第5446017号
- 登録日
- H26年1月10日(2014年)
- 権利満了日
- R11年10月1日(2030年)
- 実施許諾
- 可
- 権利譲渡
- 否
事業化情報
- 実施実績
- 無し
- 許諾実績
- 無し
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